けれど今になって気づく。親父が与えようとしたものは本だけではなく、十代における選択能力でもあったことだ。家に多くの本が並んでいる理由、それは当然、親父が自ら選択し購入したからだった。星新一であれナンシー関であれ、私が手にとって読んだところで、それは全て口移しに過ぎない。だが結局その口移し読書が、私の夢のほとんどを形成した。自分で本を買いだした頃にはもう、欲望の根幹は出来上がってしまっていた。 和田誠がそっと開けてくれた大人への扉 18歳で家を出た。引越しの日が近づくと、生活必需品の準備もそこそこに、持っていくアイテムの選定に没頭した。自分の部屋を与えられなかった私が、自ら初めて築くことができる空間。そこに存在させるのは、私を私たらしめるものでありたい。しかし高校時代に買った本や漫画のラインナップをみても、一過性の興味だったものが並んでいるだけで頼りなかった。そこで私が目をつけたのが「お楽し
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