そこには「今」がない 今週のさそり座は、「最上の話しことば」を求めて。あるいは、「わたし」を超えた何かに突き動かされるのでなければ何か物足りないという感覚を大事にしていくような星回り。 誰かに話しかけるということ一つとってみても、声が自分のからだから離れて、相手のからだに伝わってはじめて、「ことば」は成立していく訳ですが、演出家の竹内敏晴は長年の演劇指導経験から次のように指摘しています。 自分がほんとに言いたいことがはっきりし、ことばとして充実して組み立てられ、さて相手をまっすぐ見、まちがいなく声で相手のからだにふれられた、となる(…)盟友の語るセリフなども多くこれに類するだろう。ではこれが最上の話しことばか、となると、私にはどうもなにか一つ物足りない感じが残る。(…)単純に言い切ってしまえば、そこには、「今」がない、のだ。(『ことばとからだの戦後史』) ここで竹内が言っている「今」とは、