ブックマーク / kaibunko.com (8)

  • 僕を変えてくれた霊の話 - 怪文庫

    今日は、僕の人生を変えた不思議な出来事について話したいと思います。 10年前、私は平凡な大学生でした。 将来の夢もなく、大学も英語が一番得意だったから英文科を選んだだけで、燃えるように好きなものがありませんでした。 さらに、高校時代に両想いになった彼女とは大学入学と同時に自然消滅してしまい、心の拠り所がない生活を送っていました。 勉強にも夢中になれず、恋愛もうまく行かず、大学では、言葉の訛りを気にしてあまり話さなかったせいか友人もできませんでした。 親が工面してくれる仕送りだけでは、生活費が足りなかったため、居酒屋でアルバイトをしていました。 アルバイトが終わると、帰宅は夜の1時過ぎになります。 事はまかないですませているので、そのまま風呂にも入らずに寝てしまう生活でした。 風呂に入らないのは、疲れているからだけでなく、下の部屋に住む人がうるさくないように配慮をしていたからです。 それな

    僕を変えてくれた霊の話 - 怪文庫
  • 呼び戻した叫び声 - 怪文庫

    同期のハナとは月に2回、一緒に出張に行っています。 移動は社用車なので、交代で運転していました。 行きも帰りも基はバイパスを通っていましたが、その日はなぜか「下道から帰ろう」とハナが言いました。 でもその下道には途中に避けるべきトンネルがあります。 トンネルの上に火葬場があり、以前から夕方以降は通るべきではない、意識していると必ず身に何か起こると言われていました。 ふとそのことがよぎり、意識してはいけないと思いつつもどうしても心配になったので、 「ハナ、私が運転だからって寝ないでよ!絶対起きててよ?!」とお願いしました。 ずっと話をして盛り上がっていたので、私もトンネルのことをすっかりと忘れていました。 ドリンクを飲んでふと隣を見ると、ハナがうとうとしていました。 え?!今まで笑って話してたのに?とちょっと笑ってしまいながらも「ハナ、寝てんの?今まで話してたじゃんかー!」と声をかけても無

    呼び戻した叫び声 - 怪文庫
  • 注連縄の先 - 怪文庫

    これは私が体験した不思議な出来事です。 ひと晩経った今でもこれが夢だったのか、現実だったのか分かりません。 昨日の朝、私は犬のポチを連れて、家の裏手の神社に散歩に行きました。 長い階段を上り、神社の境内を一周して帰って来るのが、朝の日課です。 神社には弓道場があり、朝、弓の練習をしている人がいたり、ジョギングをする人や、私と同じように犬の散歩をする人の姿があるのですが、昨日の朝は誰にも会いませんでした。 神社の境内はしんと静まり返っていました。 いつものように神社を一周して帰ろうとすると、ポチがリードを引っ張りました。 神社の裏手の林の中に入って行こうとします。 こんなことは初めてでした。 ポチは柴犬で、リードを引く力はさほど強くないのですが、昨日は何となくポチの好きにさせてやろおうという気になって、一緒に林の中へと入りました。 林の中には細い道があり、反対側にある広い道路へと抜けるはずで

    注連縄の先 - 怪文庫
  • 和子ちゃん - 怪文庫

    私が子どもの頃に住んでいた町には、お化けが出ることで有名な坂がありました。 坂道の隣には、新しくできた真っ白いマンションが、坂に沿うように勾配をつけて建てられており、何とも不気味な雰囲気を漂わせていました。 はじめは、新しいマンションに住みたいと言っていた小学四年生だった私も、上級生からお化けが出るという話を聞いて、すっかりマンションに住みたいと言うのをやめてしまいました。 ある日、友達の家からの帰り道、どうしてもその坂道を1人で通ることになってしまいました。 そして私は見たのです、その坂道を歩く、一人のお姉さんの後ろ姿を。 お姉さんは、サラサラの茶色の髪の毛で、会社に行くようなスーツ姿をしていました。 私は、お化けじゃなくて人間だ、と安心したのも束の間、そのお姉さんの足が一であることに気がつきました。 片足しかない人を間近で見るのが初めてだったので、とてもびっくりしましたが、お姉さんが

    和子ちゃん - 怪文庫
  • リサイクルショップ - 怪文庫

    私がリサイクルショップで働いていたときの話です。 働き始めは覚えることがたくさんあり目の前の業務をこなすことに一生懸命でした。 ある程度の業務の流れに慣れ始めたとき新しい仕事を任されました。 それはお客様から引き取った品物の清掃です。 CDから器類、冷蔵庫といった家電製品さまざまな品物を売れる状態にするという仕事でした。 はじめのうちは抵抗がありましたが慣れるとスピードが求められ目の前の商品を磨くのに一生懸命でした。 そんなある日、いつものように開店準備をしていたときのことでした。 お店のドアが開く音が聞こえたのでお客さんだと思いまだ開店時間ではないことを言いに行こうと思い入口に向かいました。 ただそこには誰もおらず、施錠されたドアがありました。 私の勘違いだと思いまた開店準備をしていると次は『すみません』という声が。 私はとっさに返事をしてしまい声が聞こえる方へ向かいましたがやはり誰も

    リサイクルショップ - 怪文庫
  • これくらいおじさん - 怪文庫

    私は数年前、腫瘍の摘出手術を受けました。 発見が早かったため比較的、簡単な手術で済み、大事には至らなかったのですが、手術の前にみた不気味な夢のことが今でも気になっています。 夢は週に一度、全部で三回みました。 一度目の夢では路上で知らないおじさんと向き合っていました。おじさんはにんまり笑いながら両手で何かを包むような仕草を繰り返し『これくらい?これくらい?』と呟いていました。 まったく意味はわからないのですが、起きてからも妙に気味悪く印象に残る夢でした。 二度目の夢でもおじさんは『これくらい?』と同じ動作を繰り返しながら当時、勤めていたオフィスの端で私をにやにや見ていました。 やっぱり意味がわからなかったのですが、私はその職場でかなりのストレスを感じながら働いていたので、おじさんのなにかを包むような動作は私のストレスの大きさを表そうとしているのかな、と考えました。 三度目は、おじさんから電

    これくらいおじさん - 怪文庫
  • 恐竜がいた時代 - 怪文庫

    今から5年ほど前祖父がこの世を去りました。 祖父には弟さんがいらっしゃり、その弟さんからいろんな話を聞かされました。 第二次大戦中、南太平洋に送られた祖父はそこで米軍と戦ったことを聞かされました。 祖父はそういった話をするのが嫌いだったようですが、弟さんには何回か話をしていたといわれています。 祖父はその南太平洋で多くの怪現象を目撃したり、恐ろしい戦争独自の狂気じみた行為をみたり聞いたりしたと弟さんから伺いました。 そこでさらに祖父のお父さんは面白い話をしてくれました。 「あのね、M君…私の兄はね…恐竜をみたことがあるんだよ。」 私はびっくりしました。 自分は恐竜が昔から好きで、祖父もそれを知っているはずなのですが…。 そういったことを祖父は話しませんでした。 祖父はある日、基地の周辺の夜間パトロールにいきました。 いくら日側に大義があれど、現地の人間はよくおもっていないものもいたらしく

    恐竜がいた時代 - 怪文庫
  • 異界電車 - 怪文庫

    これは私が大学生の頃に体験した話です。 当時私は地元から遠く離れた町で一人暮らしをしており、午前中は大学へ行き、夜は電車で30分程の都市部にあるバーでバイトをしていました。 その頃は若さもあってか、講義の後仮眠を取り、朝まで働いて一度帰宅。シャワーだけ済ませてまた大学へ行く…と、かなり無茶な生活を送っていました。 ある冬の日、かなりの量のお酒を飲まされていた私はまだ暗い街の中をふらふらと歩き、なんとか始発に乗り込んだものの、座席に座ってすぐに眠ってしまいました。 これまでも幾度となく家の最寄駅を寝過ごしてきた私には珍しくなく、ひどい時は何時間も同じ電車で始発駅と終点駅を往復することもありました。 どれ程時間が経ったのか、はっと目覚めた私はすぐさま窓の外を確認しました。 外は真っ暗でした。 なんだ、ほんの少し居眠りしただけか。 ほっとため息をつくと酒の匂いがもわ、と漂いました。 ですが、安堵

    異界電車 - 怪文庫
  • 1