昨年、静岡県焼津漁港で発覚した冷凍カツオの窃盗事件。地元の水産加工会社や運送会社が焼津漁業協同組合の職員と共謀し、窃盗を繰り返してきた事実に社会は衝撃を受けた。だが、驚くべきはその後の話である。このコンプライアンスが重視される社会において、焼津漁協は逮捕者を出しながらも中途半端な調査しか行わず、騒動に蓋をしたがっているのだ。それに同調し、何事もなかったかのように仕事を続ける漁業関係者たち。焼津で取材していると、常識が通用しない“異空間”に迷い込んだような錯覚に陥るのである。 【写真】昨年9月、漁協が船会社に提示した「解決金」の振込用紙。端金で問題に封をしようとする姿勢が伺える *** これから始まる“第二の事件” 1月某日午前7時。焼津外港に向かうと、カツオの水揚げが行われていた。クレーンで漁船から港に移された冷凍カツオは、ベルトコンベアを回りながら仕分けされ、パレットに流し込まれていく。