出版社と書店をつなぐ出版取り次ぎの業績が悪化している。配送コストの上昇のためで、取り次ぎ大手4社は出版社に対し、書籍の売り上げの分配割合の変更や、雑誌の配送コストの追加負担などを求め始めた。 最大手の日販は今年3月期決算(単体)で、創業以来初めて取次業で5億6千万円の営業赤字を出した。トーハンの取次業も5年ぶりの赤字に。最大の要因は配送コストの増加だが、背景には物流界の人手不足に加え、出版界特有の事情もある。長引く雑誌不況だ。 雑誌の売れ行きが良く、書籍をしのいでいた「雑高書低」の時代には、取り次ぎが週刊誌や漫画雑誌の発売日に大量の雑誌を一斉に全国の書店に届ける際、「ついでに」送ることで書籍の配送コストを吸収してきた。だが、2年前に書籍の売り上げが雑誌を逆転。雑誌の届け先だった書店が減るなどして、雑誌の流通網が弱体化。大量の雑誌の流通を利用し、全国津々浦々へ書籍を届けることが難しくなってき