数年前に新卒で入社した会社の同期に、とても綺麗な女の子がいた。 初めて会ったのは集団面接。リクルートスーツ、黒髪、無難なメイクで個性を消された就活生の中で、彼女は一際目を引いた。ハーフアップにした艶のある長い髪と、小さな顔の中の大きな瞳が印象的だった。 数ヶ月後、内定者懇親会で会って驚いた。彼女が受かると思わなかったわけではない。彼女は名門大学の学生で、受け答えもあの場で一番しっかりしていた。どこでも採用されそうな彼女が、従業員200人ちょっとの無名企業を選んだことが意外だったのだ。15人ほどの同期の中で、私と彼女だけがデザイナー職の採用だった。 次に会ったのは入社式。彼女は長かった髪をばっさりと切ってくせ毛の目立つショートにしていた。化粧っ気もなく、古いデザインの眼鏡をかけていた。雰囲気違うねと声をかけると、これが本当の私だと応えた。元からファッションにもメイクにも興味がなく、就活や懇親