東京都の建造物で都民を励まし続ける存在といえば東京タワーであるが、東京都民でありながら東京都になじめないアンダーグラウンド都民にとって、あれはまだまだ赤すぎる。 われわれアングラ都民(共犯に仕立てあげてしまい、申し訳ない……)を励ましつづけてきた建造物といえば、府中のパラボラアンテナである。 わたしがこのアンテナを見たのは20年で5回程度に過ぎないのだが、週の半ばに嫌な事件が起きたとき、「逝去したい……でも週末に府中のパラボラアンテナを見たら気分転換になるだろうから逝去はもうちょっと先にとっておこう」と思って過ごし、週末になると逝去の件についてはすっかり忘れて遊び呆ける……という一週間を過ごすことが多く、実際に行くことはなくとも、パラボラアンテナが府中に存在するという事実がわたしを勇気づけてきたのだった。 あのパラボラアンテナ、米軍基地跡にあって、現役ではない。府中市は競馬などで財政が潤い