この記事では、IoT(Internet of Things)という用語の意味と背景、応用分野、要素技術について概観していきたい。 まず注意したいこととして、「IoT」は厳密な定義がある技術用語ではない。ざっくり説明するなら、現実世界/物理世界の「モノ」と、ネットワークを通り処理されていく「情報」を結び付け、新たな価値を作り出す試み全般を指す言葉が「IoT」だと考えていい。したがって、「IoT」はいくらでも広い範囲に解釈できる。 調査会社のIHS Technologyは「固有のIPアドレスを持ち、インターネットに接続可能な機器」を「IoTデバイス」と定義し、その総数は2016年時点で173億個と推定している(『平成29年版 情報通信白書』より)。この立場では、PC(パーソナルコンピュータ)やスマートフォンも、コネクテッドカー(通信機能を備えた自動車)もFA(ファクトリーオートメーション)機器