本記事は日経コンピュータの連載をほぼそのまま再掲したものです。初出から数年が経過しており現在とは状況が異なる部分もありますが,この記事で焦点を当てたITマネジメントの本質は今でも変わりません。 システム構築のあり方が大きく変化しつつある。情報システム部門が作り,利用部門が使うという分担から「使う人=作る人」という図式になった。利用部門がシステム開発の主役になったために,情報システム部門は利用部門の満足度を高めることに熱心だ。ここに大きな落とし穴がある。ともすれば細部にこだわって「蟻の目」になりがちなシステム開発には,広い視点から全体を見わたして状況を把握する「鳥の目」が必要だ。 食品メーカA社では,営業本部長の提案で営業支援システムを構築することになった。社内のパソコン環境もすでに1人一台になったことから,営業担当者にモバイル・コンピュータを持たせることも検討している。そうなれば直行直帰が