何だかそれらしいことをなるべく抽象的に書いて、「解釈はあなたにゆだねます。解釈できないのならば、自分の頭の出来を疑いなさい」と平然とのたまう作家というのは有害なので、以後、そいつの本は図書館で借りて読むか、ブックオフの100円コーナーから摘んできて読み、その後燃やして暖を取る、というのが自分たち市井の人間にできる精一杯の焚書坑儒、いや糞書攻呪なのだけど、その点で本作『1000の小説とバックベアード』はかなり危うい線を歩いている作品だと感じる。 人の襟首を掴んで大声でがなり立てるものよりも、むき出しにした尻をパンパン! と叩く小気味のいい音の方に人は振り返りやすいし、また近寄りやすい。だが、自分の尻をパンパン! と叩きながら声量大きく自己愛を語る人(作者)、というのが現れた場合、人(読者)はどう対応するのか。ゆやたんこと佐藤友哉の『1000の小説とバックベアード』の危うさはそこにある。