前回、子どもの頃に誰に頼まれたわけでもなく、すべて手書きの壁新聞をつくっていたという吉田篤弘さん。 今回は、そこからクラフト・エヴィングさんのデザインの秘密にまで話が発展。デザイナーにかぎらず、あらゆる人たちに届けたい言葉をいっぱいうかがうことができました。 (聞き手 三島邦弘) やりたかったことは、紙に手で書いていくこと 篤弘いま、一番のテーマは「手書き」なんです。 ―― おお! というのは。 篤弘思えば自分は、「小説を書く人になりたい」とか「絵を描く人になりたい」というのではなく、とにかく「何かをかく」ことが好きだったんです。 白い紙に手で書いていって、だんだん世界が立ち上がってくる。自分はそれがやりたかったわけです。 それが、いつの間にかパソコンで小さな画面を見ながらパチパチパチパチキーボードを打っている。ふと気づいて、「自分がやりたかったのはこれじゃない