本日で、『こなたよりかなたまで』の発売から十年を迎えました。 つまり、当たり前ですが、十年と一日前の私はこの作品と出逢っていなかったわけです。 読者と作品との出逢い方には様々なパターンがありますが、私の場合、感想の中で書いた通り、この作品は私のそれまでの考え方をぶちのめしてくれました。自分の中の価値観にどでんと居座っていた巨大な岩石に対し、今作はそれを上から優しく撫でると見せかけて、クリストゥルーエンドでいきなり横っ腹を激烈に殴りつけたわけです。私の中の巨岩はそれにより大きく横にズレました。そして、もう二度と元の位置には戻れませんでした。そういうイメージです。 負けたよ、店長。胸の中で呟く。確かにこれじゃあ半分。僕は今になってようやく宝飾店の紳士の言葉を理解した。残りを買いに行くぞ、店長! 主題2『あるいは、こなたよりかなたまで』より この彼方の思いは、私の読後感によく似ています。答えは