2017年11月30日のブックマーク (2件)

  • 小説「記憶のたわむれ」③ - Blue あなたとわたしの本

    そんなある日、俺たちのクラスに転校生が来た。四年生になったばかりの春のことだ。 なんでも父親が有名なインテリア・デザイナーとかで、かなりの金持ちらしかった。背も高くってな(そのころの俺はどちらかっていうと小柄だったんだよ)、勉強もよくできた。いつも散髪したてみたいな頭をしてた。広い額がみょうに大人っぽくって、まなじりの切れた一重瞼ひとえの目がいつも冷静沈着でさ。なんていうか──黒目があんまりあちこち動かないんだよ。あぁ、こいつとは仲良くしたほうがよさそうだ、ってみんな結論づけたみたいだった。子どもってのは計算高いところもあるからな。仲間に入れるのか苛めるのか──ちゃんと決めるんだよ。 だけど、仲間に入れるどころか──そいつはあっというまに俺たちのグループのボスになってた。いつも財布に一万円ぐらい持っててさ。小学四年生がだぜ。今ではおどろくほどのことじゃないのかもしれないけど、俺たちのころは

    小説「記憶のたわむれ」③ - Blue あなたとわたしの本
    soboku-kobe
    soboku-kobe 2017/11/30
    ノスタルジックな文字の重なりから、人が生活する音、話す時の息遣いまで聞こえたのは私だけ?読む人の五感を揺さぶる智さんの技を新たに発見・・・。
  • 空知らぬ風 (創作短編小説) 3/5(承その2) - 森の奥へ

    ※初めてご訪問くださった方がいらっしゃいましたら、今回の記事は連載途中です。1回目はこちらです。 よろしくお願いします。 www.keystoneforest.net 今回は3回目、承その2、です(^^; 空知らぬ風 咲が死んでから、正吉はまるで意気地がない。 万年床から朝遅くに起きてきて、フジが作って置いていった飯を口に入れ、汁で流し込む。 それから空模様を窺い、晴れの日なら、田へ出て遮二無二土を耕して、日が暮れると家に帰ってすぐに寝た。 雨の日なら、一日囲炉裏の傍に腰を下ろし、藁を綯い草鞋を編んで、出来が気に入らないと炉で燃やし、飽きずに炎を見つづける。 そして、眠くなれば何もわずに床についた。 誰とも話す気になれず、一言も口をきかずに過ごす日が大半だった。 腹など少しも減らなかった。 ただ、作ってあるものを捨てることができずに、仕方なく腹に入れているだけだった。 耳元でいつも咲の話

    空知らぬ風 (創作短編小説) 3/5(承その2) - 森の奥へ
    soboku-kobe
    soboku-kobe 2017/11/30
    咲のメッセージが神妙ですね。「終わり」を意識することで「今この瞬間」を精一杯生きていくことの大切さが見えてくると思いました・・・。