超能力からスタンドへ 『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズを代表作とする荒木飛呂彦が、漫画界に不可逆な変化をもたらした巨大な作家であることはもはや論をまたないところであろう。 その成果は数多く挙げることができるが、特に少年漫画やバトル漫画の領域においては、「スタンド」の発明の与えた影響の大きさが素朴に認められることだと思う。 「スタンド」概念の画期性は、何よりもそれ以前の「超能力」漫画との比較によって明らかになるものだ。 荒木自身は、明確に「スタンド」のアイディアが大友克洋の「超能力」描写から生じていることを繰り返し語っている。 「スタンド」とか「波紋」の発想の原点にあるのは、いわゆる「超能力」というものに対する疑問からなんです。その存在自体は半信半疑なんだけど「念じるだけで物が動く」ってのが、なんか卑怯な感じがするんですよ。〔略〕裏づけというか説得力というか、そういうものが欲しかったんです。