アンドレ・シャステル「グロテスクの系譜」が面白い。 ----------グロテスクってのは「アラベスク」と同じように、本来装飾・模様に使われていた言葉だそうです。グロテスク模様、グロテスク装飾というものがあったんですね。「グロテスク」という言葉は、古代ローマの「グロッタ」と呼ばれる洞窟状の遺跡に施されていた模様から来ています。それが16世紀に至り、ルネサンスよろしく「再発見」され、装飾芸術として一世を風靡したそうです。動物・植物・人間のモチーフが、ある種の滑稽さを漂わせつつ、展開されていきます。これが本来の「グロテスク」です。 しかし、こうした「放縦で滑稽な絵画」は教会や知識人から弾圧されました。理性的な人々からすれば、グロテスクは「名づけえざる装飾」であり、生理的に許せないものだったのでしょう。 そうした弾圧と、流行の衰微から一旦は途絶えたグロテスクですが、後の時代には形を変えて復活しま