BYD(比亚迪)をご存知だろうか。電気自動車(EV)売上ではグローバル2位(2017)に入る中国企業で、単にEV製造会社であるというところを越えて、中国で最も成功している企業のひとつと言っても差し支えはないだろう。日本では「ウォーレン・バフェットが投資した会社」として紹介される機会も多い。 そのBYDが、疑獄に揺れている。しかもその中身は現在国外にようやく漏れてきたようなただ金額が大きいだけ、騙されたのがアーセナルなだけの単純な詐欺事件ではない。 ひとりの人が会う相手によって違う身分を使い分け、実在するか自体怪しい自称創業者の妻の代理人が影の大株主を名乗って暗躍し、詐欺の被害者を名乗る代理店は実は裏でその当人に金を貸していて…この「事件」の登場人物はおそらく全員多かれ少なかれ裏があり嘘を付き、しかも確定した情報はなにもない。どの立場から見るかによって同じ人物の役割が違い、浮かび上がる物語も