「ストリートファイター」や「バイオハザード」など、世界で通用するゲームソフトを数多く生み出してきたカプコン。辻本憲三会長兼最高経営責任者(CEO、78)が一代で育て上げた。20代で始めた駄菓子屋をきっかけに娯楽業界に入り、変化の激しいゲーム業界を生き抜いてきた経営手腕に迫る。 綿菓子の製造機にゲーム事業の原型――最初の社長業は20代だったそうですね。 「働きながら高校の定時制課程を卒業した後、叔父から菓子の卸売りを任されました。1960年代前半のことです。でも初めての商売ですから当然うまくいきません。夏場の品質管理に失敗したり、スーパーマーケットにお客を取られたり。多額の借金をつくってしまい、3年ほどで店を畳んで大阪で駄菓子屋を始めました」 「人に頼まれ、カネを入れて自分で綿菓子を作る機械を店先に置いたところ、子供たちの長蛇の列ができた。これが今につながる大きな転機となりました。子供たちは