カムカム そのスーツ姿の男は、コンビニにいた。日付の変わったころ。パンコーナーの棚の前で、迷っていた。すると、横から細い手がのびてくる。同じ年ごろの女性が、崎山パンの「ランチパッケージ」を手に取り、レジに向かった。その棚にはもう、ランチパッケージはなかった。 斉田伸介は、健康機器販売会社に入社し、3年目。仕事もこなれてきたころだ。この日は外回りの営業も一段落し、内勤をしていた。昼休み、マクドナルドでテイクアウトしたハンバーガーとフライドポテトを食べながら、パソコンの画面をのぞいていた。 目的は、大好物のランチパッケージの新作を調べるためだ。ピーナッツバターやたまごなどの定番から、スパゲティや唐揚げなどバラエティーに富んだものまで、パンに包み込む。食べる時に手を汚さない手軽さと、ふわふわと柔らかい食感が好きだ。世間でも人気があり、ずらりと並んだコンビニの棚は、時間帯をまちがえると、空っぽであ
![パンが食べたい - 入社1年目、いきなり「対崎山パン戦略室」に配属された。](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/4287d55403c63783e2a2e212db6609413a02abb4/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fslib.net%2Fimg%2Fusers%2F47%2Fw10180-b792c7.jpg)