鎌倉時代の歌人、藤原定家(1162~1241年)による古今和歌集の注釈書「顕注密勘(けんちゅうみっかん)」の自筆原本が見つかり、冷泉家時雨亭文庫(京都市上京区)が18日発表した。和歌研究で極めて重要と位置付けられる顕注密勘は多数の転写本が存在。一部は重要文化財に指定されているが、原本の発見は初めて。今後の修理によって、転写本では分からなかった定家本人の書き込みや推敲(すいこう)にたどりつける可能性が浮上し、専門家は「国宝級の発見」と評価した。 【別カット】藤原定家自筆の「顕注密勘」の中冊には紙を継ぎ足した跡がみられる 定家に関わる顕注密勘は上中下の計3冊あり、自筆はこのうちの中冊と下冊。大きさはいずれも縦18センチ、横16・5センチだった。平安時代末期の学僧・顕昭(けんしょう)の注釈を引用し、その後、定家が同意や反論、家に伝わる説などを書き足したとされる。書き足りない場合は、上に紙を継ぎ足