"The case against climate regulation via oceanic phytoplankton sulphur emissions" P.K. Quinn and T.S. Bateas, Nature, 480, 51-56 (2011). まあタイトルは言い過ぎだが. 最近の様々な人による論文をまとめ,わかりやすく論じるレビュー論文である. およそ四半世紀前の1987年,ある仮説を提示する論文が発表された.現在では著者の頭文字をとって「CLAW仮説」と呼ばれるその仮説は以下のようなものである. 海洋の微生物は,太陽光が強くあたり温度が高いほど活発に活動し,多くの硫化ジメチル(DMS)を放出する.これは大気中で酸化を受け硫酸イオンとなり,雲の形成を助ける核となる.この結果,太陽光が強いほど雲の形成が活発となり,海洋への太陽光の照射量を減少させるというネガティ