松本サリン事件での集団的大誤報などが、なぜ起きるのか。事件報道でとくに顕著であるが、常軌を逸した集中豪雨報道は、なぜ無くならないのか。「悪者」を作り出し、当局と一緒になってバッシングする報道が、どうして続くのか。こうした問題は、古くから指摘されているのに、なかなか改善されない。いったい、これは何なんだろうね、という議論を最近、メディア関係者と飲みながら交わした。 毎度のことながら、「これ」という結論があるわけではない。それでも、いくつかのポイントは見えているように思う。 新聞社や放送局の取材現場は、かなりの部分が細分化され、かつ縦割りになっている。政治部は「官邸」「与党」「野党」「省庁」などに分かれ、経済部は「財務省」「日銀」「東証」「経産省」「東商」などに分かれ……という具合である。世の中が大激変を繰り返しているのに、こうした取材態勢は、各社とも実はそんなに変化していない。 この何年かの