福島を巡るひとつの物語が出版された。岡映里氏作「境界の町で」(リトルモア社刊)。原発復旧工事に当たる作業員など赤裸々に描写する貴重なノンフィクションである一方、福島と東京に板挟みになって彷徨するひとりの女性の私小説でもある。作者に聞いた。(取材・文=フリーライター・神田憲行) * * * 岡映里さんのデビュー作「境界の町で」は、不思議な物語である。「3.11」取材で福島に赴き、そこで出会った人々の姿を描いた。登場人物、会話、出来事は「全て事実」という一方で、小説のような空気も漂う。岡さん自身、「この作品はノンフィクション≒私小説」と説明する。岡:書いてある人は全て「事実」なんですが、ただ事実の羅列ではなく、人に伝えるために「構成」を考えています。「構成」という作為が入った段階で、私はこれをノンフィクションと呼んでいいのか、ためらいがありました。 福島に入ったのは最初は週刊誌の記者としての
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