脱アイドルを目指して 日本では考えられないことだが、ルックスがよかったり、サウンドがポップであると正当評価されないということが欧米ではよくある。ロック界でも、ピーター・フランプトンやリック・スプリングフィールドなどがそういった問題との葛藤の末、成功を手中にしたのは有名な話だ。 ニック・カーショウもまた、80年代ブリティッシュ・ポップ若手御三家として、ハワード・ジョーンズやポール・ヤングとともにアイドル扱いされた1人だ。だがニックの場合、それを打開しようとするがあまり低迷し、そのまま第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの終結と共に埋没してしまった。 80年代ブリティッシュ・ポップを代表するこの3人は、当時ライバルとして同じように扱われていたが、よく聴けば三者三様、まったく違う音楽性を持っていた。純然たるポップであったのはハワードだけで、ポール・ヤングはR&B、ニックのサウンドはロックやフュ