「なら、早くつかまえてしまおう。教祖様の目的の為には、あの男を捕まえるのが手っ取り早い」 「ですが、冴島との契約があり……」 「自らこちらに来るようにすれば問題ない。美紅、お前の力があればやれるだろう?」 美紅は、そう言われると体側に沿わせた指を震わせた。 スーツの男はそれに気づいたのか、言葉をつないだ。 「教祖様に救っていただいた恩を返すいいチャンスだ。そうは思わんか」 「……」 火が進まないタバコを口にしてから、男は言った。 「やれるなら、どんな方法でも構わん。とにかくやるんだ」 「……はい」 美紅は会釈をしてから部屋を出た。部屋の外にでると、そのまま壁にもたれ、深いため息をついた。 「あん、動いじゃダメ」 「それにしても…… こんなに濡れてるなんて」 「えっ、あっ、そこ、どうするの?」 「だって」 「そんなところ…… 吸わないで。汚いし……」 「じゃあ……」 「いやっ、ダメッ」 「こ