こんな場面を想像してほしい。中心市街地の路面電車停留所は長蛇の列。「あと3分で到着します」と案内表示器が伝える。やってきたのは最新型の低床車両である。 車両の長さは18mと長く、たくさんの客を乗せるには十分の大きさ。だが、扉は前と後ろの2つしかない。後ろ乗り前降りだから後ろの扉の前で待つもののなかなか扉が開かない。降りる人が車内に列をなしていて乗る人との交錯を避けるため、ある程度列がさばけないと運転士は扉を開けない。降りるときに1人ずつ順番に運転士に運賃を支払うから、ここが「ボトルネック」になって時間がかかるのだ。 乗車扉が開いたが、乗車はここ1カ所なので乗車にも時間がかかる。やっと発車したものの、今度は停留所に止まるたびに乗り降りに時間がかかるので、所要時間は増すいっぽうだ。 車両は最新でも仕組みは昔のまま ベビーカーを伴ったお母さんは降車の際に前扉まで車内を移動するのが大変だ。地下鉄電