日本渡辺京二著「逝きし世の面影」より これは、明治中期になってからのことだが、アリス・ベーコンはこう言っている。「自分たちの主人には丁寧な態度をとるわりには、アメリカとくらべると使用人と雇い主との関係はずっと親密で友好的です。しかも、彼らの立場は従属的でなく、責任を持たされているのはたいへん興味深いことだと思います。彼らの態度や振る舞いのなかから奴隷的な要素だけが除かれ、本当の意味での独立心をのこしているのは驚くべきことだと思います。私が判断するかぎり、アメリカよりも日本では家の使用人という仕事は、職業のなかでもよい地位を占めているように思えます」。召使が言いつけたとおりでなく、主人にとってベストだと自分が考えるとおりにするのに、アリスは「はじめのうちたいそう癪にさわった。しかし何度か経験するうちに、召使の方がただしいのだと彼女は悟ったのである。 彼女は主著"JapaneseGirland