炭素と水素からなるピセンと呼ばれる物質を使うと、有機化合物では世界最高温度の18ケルビン(氷点下255度)で電気抵抗がゼロになる超電導状態が起きることを、岡山大大学院の久保園芳博教授(物性物理化学・界面物性学)と群馬大大学院の山路稔准教授(応用化学・生物化学)らの研究チームが発見した。4日の英科学誌「ネイチャー」に発表した。 同グループによると、超電導物質はピセンの結晶にアルカリ系金属のカリウムやルビジウムを入れ込んだ化合物。ピセンは山路准教授らが07年、高純度で安価に大量生産する技術を開発した。久保園教授らが有機トランジスタの開発にピセンを利用したところ成功。「超電導にも応用できるのではないか」と試し、発見につながった。 超電導は送電ロスのない電線やリニアモーターカーなどへの応用が見込まれている。研究の中心は無機化合物で、135ケルビン(氷点下138度)で発現する物質が発見されている。一