NHKは制作局の八つの「部」を六つの「ユニット」に再編する組織改革を6月に実施する方向で調整に入った。「要員の融通性向上や働き方改革などに資するため」(関係者)としているが、戦争や憲法、社会的弱者などを扱った番組を多く作ってきた文化・福祉番組部が分割され、二つのユニットに編入されるため、「“NHKの良心”と言える番組を作る拠点が解体される」との懸念の声が上がっている。 同部は「ETV特集」(Eテレ)などのドキュメンタリーや、福祉情報番組「ハートネットTV」(同)などを制作。前身の教養番組部時代には、旧日本軍の従軍慰安婦問題を取り上げたETV特集「戦争をどう裁くか『問われる戦時性暴力』」(2001年)も手掛けた。同番組は、放送前日に安倍晋三首相(当時は官房副長官)がNHK幹部と面会し「公平、公正に報道してほしい」と要請したことが05年1月に発覚し、政治圧力の有無…