「妻が反対するので内定を辞退します」-。夫の転職や起業が妻の鶴の一声でご破算になる「嫁ブロック」という言葉が浸透しつつある。終身雇用の崩壊に伴う転職市場の拡大によって、夫婦の形も変化を余儀なくされている。転職にロマンを求める夫に対し、肩書や収入をシビアに見つめる妻の目線。妻はなぜ反対するのか。その本音に耳を傾け、背景を探ってみたい。 ■転職市場の拡大で業界用語が一般化 「嫁ブロック」はもともと、企業の採用担当者が使っていた業界用語。妻の反対で採用が失敗に終わることを指していたが、ここ数年の転職市場の拡大により、一般にも知られるようになってきた。 人材派遣大手、インテリジェンス(東京都千代田区)によると、転職希望者数は平成22年1月から今年11月までの間に約3倍に増加している。 もっとも大きな要因は、東京五輪に向け建築業界が求人を大幅に増やしていることだ。これまでは経験者の中途採用が