米アップルのスティーブ・ジョブズが絶大な信頼を寄せていた同社デザイナーのジョナサン・アイブに焦点を当てた書。「アップルにとってはスティーブの死より、ジョナサンが辞めるほうが深刻」と評されるほどの人物である。アップルでデザインスタジオを設立したロバート・ブルーナーの功績も大きいが、スティーブとジョナサンの強力なタッグでアップルが「エンジニアの力が強い会社」から「デザイン中心の会社」に変わっていった過程が紹介されている。 プロトタイプ作りに数百万ドルを投じることもいとわないようなアップルを見習うのは容易ではない。ただ、「とにかく人に愛される製品を創る」「消費者がどう受け止めるかをデザインする」といった考え方は多くの企業に参考となるのではないか。iMacやiPod、iPhoneなどの開発秘話をプロトタイプの写真付きで紹介しており、単純に読み物としても面白い。