<就任からわずか45日で辞任に追い込まれた英トラス首相だが、日本より財政が健全なイギリスがここまで苦しむのには理由がある> [ロンドン発]減税による成長戦略をぶち上げ、債務危機に火をつけたリズ・トラス英首相が就任からわずか45日目の10月20日、首相官邸前で「このような状況では保守党から委任されたマンデートを実現できない」と大方の予想通り辞任を表明した。28日に新党首(首相)が選ばれるまで首相職に留まるが、英国史上最短命の首相となった。 これまで最短命記録は1827年に肺炎で急死したジョージ・カニングの121日。トラス氏はナチスドイツに対する宥和政策で知られる第二次大戦中のネヴィル・チェンバレン(保守党)以来80年以上ぶりに一度も選挙を戦うことが許されなかった首相という汚名も残す。 欧州連合(EU)離脱、英国内だけで20万人以上の死者を出したコロナ・パンデミック、ウクライナ戦争という未曾有