裁縫箱には雑多なものが無秩序に入っている。 針や糸や鋏など裁縫に使うものはもちろん、洗濯ばさみ、クリップ、壊れた安物ネックレス、シャーペン、もう捨てたミシンのパーツ、そして元はキーホルダーのチャームであった土偶。 土偶は有名な遮光器土偶ではなく、調べてみると中国の武人をかたどった埴輪であるらしい。 え、土偶ではなかったのか。 今の今まで、おそらく10年以上、裁縫箱に土偶があると思っていたが、土偶ではなく埴輪だった。 シンプルなデザインの土偶改め埴輪は、親指くらいの大きさで素焼き。腕は無く腕の位置に穴が開いていて、キーホルダーだった時には穴に紐が通っていたような気がする。 この埴輪がなぜ家にあるのかわからない。 裁縫箱に入れる前は、どこかの土産物屋のしわくちゃの小袋に入っていた記憶はある。家族の誰がが旅行先で買ったものだとは思うが、埴輪が土産物になるような場所が思い当たらない。少なくとも家族