暮れも押し詰まった12月18日の昼過ぎ、私のスマホが立て続けに、「ピンポピンポン、ピンポピンポン♬」と鳴り出した。これは、「中国版LINE」こと、「微信」(WeChat)の着信音である。相手はいずれも、海の向こうの中国のメディア関係者だった。 中国の書店で試し読み用に置かれた、伊藤詩織さんの『ブラックボックス』の中国語版『黒箱 日本の恥』の表紙 彼らの要件はすべて同じである。それは、「『黒箱』問題の判決についてどう思うか?」というものだった。 ■ 中国でベストセラーになった詩織さんの著書 「黒箱」とは、「ブラックボックス」を中国語に訳した言葉だ。そう、ジャーナリストの伊藤詩織氏が、2017年10月に文藝春秋から出版した本のタイトルだ。 この日、東京地裁で出た民事訴訟の一審判決――「加害者である山口敬之元TBSワシントン支局長に、被害者である伊藤詩織氏に対して慰謝料330万円の支払いを命じる