宮崎駿監督のアニメ映画「千と千尋の神隠し」が,第75回アカデミー賞アニメーション映画部門においてオスカーを獲得した時のこと,ある後輩が面白さで気が狂わんばかりになって電話をかけてきた。 「米国人へのインタビューをやっていますから,すぐに見てください」。 慌ててスイッチをいれると,約1時間は腹が痛くて仕方ないほど笑わせてもらった。「千はなぜカオナシをやっつけなかったのか?」「千とハクはなぜラストシーンでキスをしなかったのか?」とか。どうやったらこんな質問が出てくるのだ?と思うような質問のオンパレード。件の後輩曰く「米国人にとっては,八百万の神々はモンスターに見えるのでしょうね」。 しかし,冷静になって考えると,これは笑ってばかりはいられない内容であった。「千と千尋」を見てさえ,かくのごとき疑問と感想が出てくるのが米国民なのである。だからこそ,国際社会においても,正義と悪とを明白に区分したがり