1. 戦争の現況と性格 ロシアによる侵略戦争の現況を判断するのは容易ではない。これまでのところ、ウクライナ軍は昨年8-10月に東部・南部で反攻に成功し、ロシア軍は地上戦では押され気味だが、ウクライナの電力施設、民間設備などに対する大規模なミサイル攻撃により打撃を与えてきたからである。ところが、本格的な冬期到来とともに、両軍の兵員と兵器の損耗が著しいことが判明した。 戦死傷者については正確な数字は不明だが、ウクライナ軍12万、ロシア軍20万とも言われ、現場で指揮する士官クラスの不足が顕著だという。ロシア軍は極東の部隊まで投入し、戦車は1950年代製のものまで倉庫から引き出している。また、ドローン不足をイランから、砲弾類の不足を北朝鮮から購入して補充してきた。但し、高度精密兵器の部品は経済制裁の対象なので、中国から第三国の軍需・民需両用製品を購入している。ウクライナ軍は防空ミサイルや火砲・砲弾