全国の国立大学で小児神経学の専門講座を持つのは岡山大学と鳥取大学の二つのみ。前垣はそこで様々な「特性」を持つ子どもたちと向き合っている。薬など根本治癒の方法はない場合も多い。 - 撮影=中村治 親や社会は子供たちの持つさまざまな特性とどう向き合えばいいか。鳥取大学医学部附属病院脳神経小児科教授の前垣義弘さんは「発達障害は自閉スペクトラム症、ADHD(注意欠陥多動症)、限局性学習症(学習障害)などの総称である。発達障害の傾向がある子どもは全体の10から20パーセントに及び、とりだい病院のある鳥取県では5パーセントが病院に通う。たとえば我慢が苦手な傾向にあるADHDの子どもを持つ親御さんとは、一緒に工夫してお子さんに対する作戦を考えていく」という――。 【写真】鳥取大学医学部附属病院 脳神経小児科教授 前垣義弘 ※本稿は、鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 16杯目』の一部を再編集したもの
小児がんの一つ「横紋筋肉腫」で闘病してきた角田与喜ちゃんと、ベッドで添い寝する父の翔さん。こども病院では、付き添いの環境改善や配慮について家族からの要望は多い 「食事や入浴の介助や世話、医療的ケアが長時間に及び『労力提供型』の付き添いになっている」「付き添い中の食事や睡眠、入浴といった生活の状況は劣悪で、経済的な不安も強い」―。 【グラフ】こども病院への入院患者数 開院以来30年、重症や難病の患者を受け入れてきた 6月、東京都のNPO法人「キープ・ママ・スマイリング」が、過去5年間に0~17歳の入院に付き添った人を対象にインターネットで行った調査結果を発表した。3600人余りの回答からは、安心して子どもに付き添える環境整備が遅れている現状が浮かぶ。同NPOは、こども家庭庁などに改善を要望。同庁は医療機関への聞き取りを進めて対策を話し合う方針だ。 付き添う割合、小児がん病棟で約7割 開院以来
幼い子どもが入院する際、保護者が病室に泊まり込んで世話をする「付き添い入院」を巡り、病児やその家族を支援する東京のNPO法人「キープ・ママ・スマイリング」が6月、全国アンケートの結果を公表した。有効回答者は約3600人と過去に例のない大規模な調査で、本来は任意であるはずの付き添いが事実上、入院の条件となっていることや、保護者が心身ともに重い負担を強いられている状況を可視化する内容だった。 この調査結果を受け、こども家庭庁と厚生労働省は2023年度中に医療機関を対象とした実態調査を行うと発表した。アンケートに寄せられた親の声が国を動かした形だ。 「一日中ほとんど寝られない」「医療行為の代替を求められる」「経済的な負担がきょうだい児にも及んでいる」。当事者の声は、さまざまな面で深刻な問題が起きていることを物語っている。その一つ一つをたどりながら、子どもや保護者にとって最善の環境をつくるためにど
重い知的障害や肢体不自由がある「重症心身障害児」のためのデイサービスを運営している紺野昌代さん。さまざまな葛藤を抱えながらも3人の重症児を育てた経験から、「重症児の育児で大変な思いをしているお母さん・お父さんたちの支えになりたい」と、現在の活動を始めました。紺野さんのこれまでの歩みを辿ります。 【画像】最期の時まで、お友達と一緒に過ごした愛聖くん。 「生まれた子どもたちは3人とも、同じ先天性の代謝異常症でした」と、紺野昌代さんは振り返ります。 専門学校を卒業して看護師として働き始めた翌年、長男の聖矢(せいや)くんを出産。妊娠中は何の異常もありませんでしたが、生まれてから初めて聖矢くんに重い障害があることがわかりました。 「聖矢を産んだのは20年以上前なので、今ほどは制度が整っていなくて預け先がなく、どこに相談していいのかもわかりませんでした。ミルクを飲めずに鼻から管を通していたのですが、逆
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