連載 いのち見つめて ALS嘱託殺人事件公判から:⑥ 医師が患者を薬などで死なせる積極的安楽死をめぐって裁判になった事例として、医師が殺人罪に問われた「東海大病院事件」があります。1995年の横浜地裁判決では、例外的に安楽死を認める4要件が示されました。 2000年代は生命維持治療の中止が問題になり、厚生労働省は07年、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」をまとめます。患者本人の意思決定を基本にすることが掲げられ、終末期であれば治療中止は許容されるという理解が徐々に進みました。ただし、「積極的安楽死は、本ガイドラインでは対象としない」と記されていました。 その後、国内における安楽死の議論は低調になっていきます。 一方、オランダやベルギー、カナダなど次々に安楽死を認める国が増えていきます。米国でも医師による自殺幇助(ほうじょ)を合法化した州が約10州あります。治療のあり方や生き方