1983年に立ち上がった埋蔵文化財調査室で、約40年にわたって学内の発掘調査を担当してきました。江戸時代に加賀藩の江戸屋敷が置かれていた本郷キャンパス。建物の改修や建設の度に学内各所で行われてきた発掘調査によって、その広壮な加賀藩邸の姿が明らかになってきました。 2013~14年に総合図書館前広場(アカデミックコモンズ地点)の工事に伴い行った発掘調査では、井戸、排水溝、便所の遺構が発掘されました。1827年に第11代将軍徳川家斉の二十一女・溶姫が、前田家13代斉泰に嫁いだ時に建てられた溶姫御殿の最奥部にあたる場所です。 御殿の正門である赤門から奥に広がる約5,200坪の広大な御殿でした。特に長局ながつぼねは、大奥と同じレイアウトで、その「三ノ側長局」、「三ノ側続長局」という女中が居住していたエリアから5基の便所が出土しました。土を掘り、その中に木桶を埋める構造でした。便槽は2基が対になって