東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出の方針が4月に決まり、反発を強める中国や韓国。今月5日の日韓外相会談でも、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相が「韓国民の健康や安全、海洋環境に潜在的な脅威を及ぼし得る」と懸念を示した。しかし、世界各国の原子力関連施設は原発事故前から処理水と同様にトリチウムを含む水を放出している。韓国・釜山(プサン)のように付近で原子力関連施設がトリチウムを放出しながらも海産物の名所として知られる地域もあり、専門家は反発について「科学的根拠がない」と指摘。説明や補償の必要性を訴えた上で、「釜山の事例は福島の可能性を示す」としており、復興のひとつのモデルにもなり得る。(荒船清太) 福島第1原発に貯蔵されている処理水は約860兆ベクレルのトリチウムを含む。政府は貯蔵している処理水は大幅に希釈し、毎年最大22兆ベクレルを今後数十年に分けて放出していく方針だが、世界に目を向け