/* この作品は花・カフェ・宝くじに収録されています。 */ 「次は、西鷹砂台(にしたかすなだい)、西鷹砂台」 マッチングアプリで出会った女が待ち合わせ場所に指定した駅――保世(ほぜ)線の終着駅がおよそ二キロ四方の廃墟に続いているのを思い出したとき、私はやっと自分が騙されていたことに気付いた。久しぶりに好きな顔の女に会える!と舞い上がっていたせいで、列車の行き先さえも気にならなくなっていたらしい。初夏のよく晴れた日盛りに、誰もいないプラットホームで立ち尽くす自分が急に恥ずかしくなる。 鷹砂台団地は、都営保世線の最北端である西鷹砂台駅から徒歩一分の好立地で、数十年前までは三万人ほどが住んでいたという。しかし、少子高齢化、老朽化、コミュニティの硬直化……様々な要因が重なり、今となっては街ごと閉鎖されてすっかり人影もなくなってしまった。浮浪者の侵入や犯罪への利用を防ぐためのガルバリウム鋼板で隙間

