宮田珠己さんは、伊藤礼さんの『ダダダダ菜園記』をどう読んだのか。4月刊のちくま文庫より解説を公開します。 私が伊藤礼翁の文章に触れたのはずいぶんと遅くて、『こぐこぐ自転車』なる文庫本を書店で見つけ、タイトルの醸しだすアホアホな味わいに惹かれて、なんとなく買って帰ったのが最初だった。 私はアホアホな文章を読むのが好きだ。関西生まれ関西育ちの私にとって、文章とはまず笑えてなんぼである。 よって西に笑える本があると聞けば行ってページをめくり、東におかしな本があれば買ってむさぼり読み、南に死にそうな人があれば行ってこの本を読んだら笑うよと言い、北にケンカや訴訟があればつまらないからそれよりこの本を読めと言うぐらいで、ユーモアエッセイのなかでもとくに笑える本については、入手できるものはすべて網羅しているつもりだった。 そうして多くの笑える文章を熟読玩味し、内田百閒の実に味わい深いアホアホな文章こそ最