とあるファッションビルの上りエスカレーターで前方の女性のポニーテールが美しいなあと思いながら立っていたら、後方からこんな会話が聞こえてきた。 「見えるもん~!」 「ダメよ!0.1って言ったら一番前の席でも黒板の字が見えないくらいじゃないの、大体0.1って小数点第一位で、もしかしたら0.0いくつにまでなっちゃうんだよ、ダメだよ」 降り口でチラッと後ろを見ると、小学生1年生くらいの女の子とそのお母さんだった。 「ねえ、正直ママ泣きそうなくらいなのよ、0.3でもショックなのに、0.1なんて考えられないよ」 親御さんは舌が回るタイプなのかたいへんな早口で娘さんを説得されていた。 メガネデビューかな、と思った。 ぼくはと言うと、メガネデビューしたのは小学3年生の頃だった。 ぼくは元々メガネというものに憧れていた。正確には、メガネをかけている、江戸川コナンに憧れていた。その頃はコナンという少年がとても