「移行に対応する能力がない地場ベンダーが撤退する一方、全国一斉の作業に国の制度変更への対応も重なり、大手であっても人手が足りない。既存顧客を引き受けるだけで精いっぱいだ」 全国1788自治体の3.5万近くに上る既存システムを、2025年度までに一斉に作り替える――。「令和のシステム大移動」とでも呼ぶべき、政府主導の巨大プロジェクトが国民生活の裏側で始まっている。 これまで自治体が個別に構築してきた住民記録や戸籍情報などに関する20の基幹業務システムを、政府が示した共通の仕様書(基準)に合う形で作り直す「システム標準化」を行い、政府が整備する「ガバメントクラウド」上で稼働させる。自治体のシステム運用の効率化を図る狙いで、政府はすでに7000億円規模の予算を投入して事業を推進している。 しかし、その作業は当初の想定以上に難航している情勢だ。政府は昨秋、移行が極めて難しい一部自治体については20