前野隆司著『脳はなぜ「心」を作ったのかー「私」の謎を解く受動意識仮説』 たとえば「直角三角形があります。直角を挟む2辺の長さは3cmと4cmです。では斜辺の長さは?」という問いを出されれば、いろいろ考えたり思い出したり計算したりして「5cm」と答える。そのとき我々は、「私」が自主的に意図して考えたというふうに感じている。ところが実はそうではない。本当は、ニューロンという小人の群れが勝手にああでもないこうでもないと情報をやりとりした結果としてその答えに到った、とみるべきだ。「私」は常にその小人たちの動きを端から眺めているだけ。小人たちの統率や指揮すらしていない。それでも、小人たちの仕事を「私の仕事」と錯覚することによって、「私」という自己意識は生じてくる。 同書が示す「受動意識仮説」とは、だいたいこんなかんじ(いくらか私なりの表現に換えた)。この見方は、意識がどういう構造になっているかを大き
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