もし劇団の債権者が『マネジメント』を読んだら著:有川浩 画:大矢正和 メディアワークス文庫*1弟の小劇団の債権者になった巧には、一つの目標があった。それは、「借金を3年間で返して黒字にする」ということだった。彼はそのために鉄血宰相になったのだ――分裂赤字劇団は復活できるかストーリー。 巧が制作として関わる以前は、チケットノルマが劇団員に課せられ、劇団員が全員舞台に出ることができる、という状況で、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海) *2にのっとっていえば、以前のこの劇団の《顧客》は、まだ甘い夢を見ていたい劇団員だった、ということになります。 舞台に出る団員を減らして演出の引き締めを図る、ということは、《顧客》を団員から観客に変更した、ということ。古い《顧客》が劇団から離れていくのは、当然といえましょう。 ここで象徴的なのは、分裂後の劇団は、