現在日本には約二万人のホームレスがいるとされるが、筆者がフィールドワークを行なっている「釜ヶ崎」は日本で最もホームレスが集住している寄せ場である。現在、釜ヶ崎を見渡すと、ホームレスの多さも然ることながら、ホームレスを支援するキリスト教グループの多さにも目を見張るものがある。 釜ヶ崎で活動するキリスト教は大きく二つの傾向に分類することができる。一つは、ホームレスに至った要因を社会構造にみるリベラルなキリスト教グループ。そしてもう一つが、ホームレスに至った要因を個人にみる保守的なキリスト教グループである。 前者はカトリックとプロテスタントの垣根を超えたエキュメニカルな運動で1970年に分野の異なる複数のグループから成る「釜ヶ崎キリスト教協友会」が結成された。以来、「釜ヶ崎キリスト教協友会」はグループ間のみならず、新左翼運動にルーツをもつ釜ヶ崎の労働運動ともゆるやかに連携している。そして最大の特