◇ ――それは、光だった。 一度記憶がバラけたワタシにも、その眩さが生まれて初めて目にしたものということだけはわかった。 地下世界の影を形作る白熱灯の光とは違う、瞳孔を貫くような赤き朝焼け。都市の建造物が歯型のように立ち並び、ジグザグに切り分けられた空と海の境界線に炎のごとく浮かぶ輝き。 ぬらりと湿った肌を外界の風が冷やす。眼球がささやかな痛みを訴えたのは、そのせいなのか。 そこへ。 まだ会ったこともなかった、ワタシの友人の声が響き渡る。 あの決死の脱出劇の中でなお、心を奮い立たせてくれた二人の歌と共に。 けたたましいローターの回転音の中でさえ、あの光まで届きそうなほどの――。 ――おそらくワタシは。 この記憶だけは、生涯、失うことはないのだろう。 この日見た朝焼けの色を。 激しかった戦いを。 はるか彼方から会いに来てくれた、ワタシの友達の姿を。 ◇ いやもう、タイトル通りなんですが。 や