明治から大正に移る頃、産ぶ声を上げた企業が今年、創業一〇〇周年を迎える。現在、苦境に喘ぐものも多いが、日本経済を牽引してきた名門企業の原点を振り返った。 『西武グループ』の中核企業『西武鉄道』の前身『武蔵野鉄道』が設立されたのは、今から100年前のことだ。 1912(明治45)年5月に埼玉県・飯能の地主たちによって設立された武蔵野鉄道は、1915(大正4)年4月に池袋~飯能間約44kmの運転を開始。だが経営状態は当初から芳しくなく、危機に陥っていた。この武蔵野鉄道の経営権を取得し、一代で不動産や観光などのリゾート開発、ホテル事業、デパートなどの大企業集団『西武グループ』を築き上げたのが、堤康次郎(1964年没、享年75)である。 その西武が現在、危機に直面している。社長職は『みずほコーポレート銀行』出身の後藤高志氏(63)に委ねられ、外部から来た経営陣と創業家の堤家との間には大きな軋轢が発