【カイロ=山尾有紀恵】政変が続くエジプトは、知る人ぞ知る「痴漢大国」だ。男社会の下でかき消されていた被害女性らの声が、「アラブの春」をきっかけに表に噴き出した。政治も警察も当てにできず、我が身を守るために動き出す女性たちもいる。 「アラブの春」で表に噴出 ■罪悪感ない男性「不況のせい」 「ひどい言葉を浴びせられたり、体を触られたり。1日に3〜4回はセクハラや痴漢に遭う」 エジプトの首都カイロ市内を走る路線バス。毎日の通学に使う学生のヌラン・サイドさん(21)は、車内で眉をひそめた。 バスや地下鉄などの公共交通機関は運賃1〜2エジプトポンド(14〜28円)と安価で、「庶民の足」だ。朝夕のラッシュ時などにすし詰めとなる車内で、女性たちを悩ませているのが痴漢やセクハラ行為だ。最近、注意すべきは成人男性とは限らない。「子供も常習犯。母と一緒に歩いていてセクハラに遭うこともある」と、ヌランさん