『ライトノベル』という言葉は数年前から使われ出し、今ではかなりの市民権を得ているようです。これ以前には『ヤングアダルト』が使われていたのですが、これは内輪だけの言葉で一般にはあまり浸透しませんでした。『アダルト』という言葉に「18禁」のニュアンスがあり、『ヤングアダルト』とはいったい何をさすのか門外漢には判りにくかったのも確かです。その点『ライトノベル』は明快でした。『ライトノベル』という名が付けられたことでライトノベルそのものが内輪のものでなくなり、広く世間に知られるようになったとも考えられるのです。 その結果起こった『ライトノベル』評論本ブームはなんだか80年代の少女マンガ評論ブームを彷彿とします。当時、批評家たちは未知の大陸『少女マンガ』を発見して狂喜乱舞したわけですが、元々そこに棲んでいた少女マンガ・ネイティブにとっては発見でも何でもなかったのでした。